朝のコインランドリー

洗うものは山ほどあるんだけど

書き直さない文章

 

 

心の赴くままに戻ったりしない、消すこともしない文章を書く試み

まるで万年筆で上等なノートに書いているような。一筆書きのような

自由で不自由な反復作業ではない執筆。

たまに書き足していこうと思う

 

7.1 sun

人と会わなくなった。人というのは人間全般ではなくて特定の誰かだ。会える距離にお互いが住んでいて会い続ける気持ちがあればいつでも会える、という状態は、いつか来る会えなくなる日の辛さを強固にしていく。

どうせそのうち会えなくなるのだろうし、できるだけ多く会っておこうと思っていた時期はわたしの中で終わった。相手がどう思っているのかは知らない。

家族ではないかぎり誰もが他人だ。家族も、根本的には他人だ。それは淋しくもあるけれど理屈に合っていると思う。生まれたとき一人なのだから死ぬときもまた一人。わたしはわたしだ。

 

プリミティブダンスを見た。ヨーロッパの団体だ。舞台構成をしたスペイン人女性は世界的に有名らしく、ショーのあとのトークイベントには観客の半数が残った。休講でたまたま時間が空いたので大学からすぐのところにある都内でも格式高い劇場に足を運び、3時開演のプログラムのチケットを購入した。普段からこういう事をしているわけではなく、たまたまそういう気分だったのと劇場に行ける服を着ていたので思いつきを実行したまでだ。

イギリスのシアター(ミュージカルを見る劇場)を再現したような空間は、しかし変に新しくてちぐはぐしているように感じた。発券係のお姉さんが勧めてくれた前から二列目の角席は視界が確保されていて見やすそうだった。開演前はパンフレットに目を通した。人間と自然がテーマらしい。五大元素をモチーフにしている。

 

プリミティブダンスはすごく不思議なジャンルだった。言葉の不在と身体の実在。ものすごく原始的 primitive だ。

しかし構成はかなり創意に富んでいて、布、風、照明、砂のように細かいゴム(タイヤの元になるもの)を駆使し、また、弦楽器や打楽器(アフリカのもののように思えたが日本の会社が協賛で提供しているらしかった)、水槽の水音、声、身体を叩く音、小道具を床に打ち付ける音で場内を満たし、観客の想像力をなるべく遠くへ連れ出そうとしていた。

躍動する身体が人間の進化を表象する1時間半、分からない理解できないシーンもあったけれど2018年の東京から遠く遠くへ行って帰って来られなくなりそうだった。ショーが終わった時、わたしは自分の身体がある場所を急に思い出した。

言葉にすることができない感覚が身体の中で渦巻いていた。劇場を出たらお腹が空いたのでサイゼリアでミラノ風ドリアと辛味チキンを食べてからバイトに向かった。

 

 

7.2 mon

暑い。昨日から夏が始まった。今の気温は30度を超えている。

行きたかった会社から内々定が出た。今日通知書を受け取りに行ったけど承諾の署名はしないで帰った。まだ迷っている。一社、口頭ではあるものの内々定承諾の返事をしてしまったのでそちらを断るのも面倒だ。電話しなければ。

今日は母の誕生日だ。今年は何をあげたらいいのかわからない。一度帰宅してスーツから私服に着替えたら街に出て何か探そうか。こんなに暑いから一度家に着いたら出ない気もする。

やる事が多いようで少ない、けどやはり少し多い。眠い。