清潔なカフェテリアで珈琲を飲んでいる。もう飲み干すというころになって人の生活が綴られた文章を読み始めたら自分も記録を取る気分になった。
現在留学している大学では食べものや飲みものを入手しやすい。アルコールの品揃えはあまりよくない。
さよならまでの距離を人はどう測るのだろう。
byeという二音はあまりに短く、惜しむほどの隙を相手に与えない。
大切な友達と下手に別れてしまったので気持ちが宙ぶらりんのまま身体だけが帰ろうとしている。
置き去りになった(またね)が、渡す相手もいないままトランクの中にパッキングされる。もう着ることのない衣類や調味料とともに棄てて行くべきか、まだ分かりかねている。
別れがたいのはこちらだけ。いつまでもさよならは苦手だ。
また会えるのだと確信しながら別れなければいけないわけではないと分かっている。積み上げた時間や大切な記憶を過大評価しないこと。なるべく思い出さないようにすること。それが一番良い。少なくとも傷付くことはない。
好きでよく聴いていた曲を同じようには聴けないように、どんな相手ともずっと同じ関係でいることはできない。