朝のコインランドリー

洗うものは山ほどあるんだけど

サハラ砂漠に落ちた星



わたしの夏が帰ってしまった。


これは8月31日に呟かれなかった言葉だ。夏というのは、ここでは比喩であって大学生である私の夏季休暇は優に二週間余していた。

この夏、私は異国の地で十人の子どもと三週間を過ごした。血の繋がりも地縁関係もない小学生、中学生たち。はじめて会ったのは五月だったか。この子たちを「わたしの夏」と呼ぶなんて思いもしてなかった。


作文集を開くと懐かしさで胸がいっぱいになる。致死量のノスタルジーに、薄い冊子を開いたまま市立図書館の図書閲覧室で茫然とする。



書かれた言葉は口に出されなかった言葉の魂を多く含有する。それは子どもの書く作文の一枚にも同じことが言えるのであって、あぁ わかったつもりでいただけだったんだなと思わされる。

別れる前の空港で、もう会えないと泣きそうだった。あんなに届いて嬉しかったLINEグループの招待はちょっとない。今夜あたりメリークリスマスのメッセージを入れてみようか。