朝のコインランドリー

洗うものは山ほどあるんだけど

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Dear Life

 

共同住宅を扱う仕事をしていると、ごくたまに詩的な響きを持つ建物に出会うことがある。

ディアーライフ。その名前の美しさにしばし手を止める。愛すべき生活。紐付けされたナンバーも意味を帯びて見えてくる。

膨大な数の物件名に目を通し、出力された資料と照らし合わせる作業をしている時に見つけた名前は、過ぎた学生時代に受講した授業を想起させた。

 

生命/生活/人生の讃美歌。浅瀬の水は深みに通じている。

たとえば、仕事は生活の一部でしかないけれど、私自身に関連して流れ込んでくる。その大きな流れに逆らおうとすると溺れる。流れをうまく躱しながら受け容れることの本質に思い当たる。

未熟さを変換していく困難に挫け、その一方で棄てることもできず沈黙を守っていた。自分の中に貯えすぎた水の澱みに当てられ、自身が腐っていくのを茫然と見ていることしかできなかった。

潮目が変わり、住処が動く。次の場所でわたしは呼吸を止めない。