朝のコインランドリー

洗うものは山ほどあるんだけど

escape


空が青い。空が青い。生きなければならない。


しばらく日本という国を留守にしていろいろなことを考えた気がする。自分が何によって成り立っているのか、とか自分は誰なのか、とか。
親から離れて、故郷から離れて、インターネットだけ持って逃げた先。

そう、文字通り逃げたのだ。あれはエスケープだった。はじめて奥の方でSOSが聴こえたのは何時だったろう。
逃避行の癖がついたのは大学生になってからだった。非日常、とかフィクションとか、そういう“ここじゃない場所”に今行きたくて。
しがらみを取り払うことはできなくてもしばらく忘れられるのがエスケープの時間だった。

いろいろな場所へ行った。六月に見た北海道の夜空。雨の日の鎌倉、小町通りと鶴岡。九月の千葉の海と長い道。大晦日の浅草の活気。春先の広島、川のある町に流れる時間。

一人でいる時に見つめるものは全部自分に還元される気がする。透明な水が喉を通るように染み渡っていく、身体に。指まで。

まなざすものは、何