朝のコインランドリー

洗うものは山ほどあるんだけど

生活

 

 

泣きたいほど冷たい雨だった。

秋も深まる10月の夜の通り魔は、河原を歩いてバイトに向かう女子大学生の頭のてっぺんからつま先までずぶ濡れにして逃走した。

雨宿りする屋根もない道を仕方なく進み、店に着いた時には靴が鳴くほどになっていたので、置きっぱなしにしてる私物のサンダルに履き替える。すっかり水を吸って重たくなったフーディーも脱いで乾かすために広げておく。中に着たTシャツまで浸水していなくて助かった。フードを被ったため髪も思ったほど濡れていない。ジーンズの替えはないので太ももやふくらはぎが冷たいが、暖かい店内にいれば大して気にはならないだろう。

自分のためにコークウィスキーを作ってグラスを揺らす。五年も同じ店でバイトしていると手癖が悪くなる。どうせこの雨では客足も遠い。明日は試験なので一杯で止めておこうと思う。

 

f:id:waiting4love:20181020213458j:image