朝のコインランドリー

洗うものは山ほどあるんだけど

生活とは特別なものではない

 

 

この時間、意外にも電車は空いている。

定時から一時間ずらして帰ると、ちょっとだけ得した気分になる。わたしの勤め先は髙島屋の前にあるのだが、デパ地下で割引された高級なお弁当を手に入れて祖父母に会いにいくと喜ばれるので、給料日後のまだゆとりのある懐具合で夕べの街を歩く。

3割引のシールを冠した今半すき焼き弁当は、非日常的空間であるはずのデパートにそぐわない生活の匂いがする。

 

甘えた身分だと思いつつも、わたしの地続きの生活は今のところ安定している。その温度を望んでいたのかと訊かれると、そうではなかったと言い切れるが、消去法としての安寧はなかなかに身の丈に合っており、その事実だけが今のところわたしの語りえるものだ。

 

とどのつまり、ほんとうの意味で変わることはできないのだ。と、新たに学んだ労働者若葉マーク。道のりは、良くも悪くも長い。